認定試験の共通問題について(認定試験)
こんにちは!
本日は認定試験の共通問題となっている範囲をざっくりとまとめていこうと思います!
試験は全24問中の9問がこの共通問題となっていて、認定療法士じゃなくても管理職であれば知っておかなければいけない内容かと思います!
協会が目指す専門・認定理学療法士の役割
医学研究の流れ
実験によって医学は大幅な進歩したが、人体実験等の非人道的な行為が見られた。
↓
・ヘルシンキ宣言
医学研究は、単に科学的観点からだけではなく倫理的な観点からの妥当性が必要とされた。
ヘルシンキ宣言(1964年)とは
→ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則
・医学研究は、すべての人間に対する尊敬を深め、その健康と権利を擁護する基準に従わなければならない。
・考察、論評、助言を添えて、特別に指名された倫理審査委員会に提出しなければならない。
・対象者の自由意思によるインフォームド・コンセントをできれば、文書で得なければならない。
・ネガティブな結果もポジティブな結果と同様に刊行または他の方法で公表しなければならない。
リスボン宣言(1981年)とは
「患者の権利」→主語は利用者である。
・生存する個人に関する情報は個人情報の保護の対象となる。
倫理の背景
倫理学の基本理念=人間とは理性的存在
・人格(Person)概念⇒EngelHardt(エンゲルハルト)
→人格概念を前面に出す立場がパーソン論
→欧米の生命倫理に関する議論の中心理念
パーソン論とは…
ヒト(human)と人格(person)を区分
・ヒト(human)=生物学的概念
・人格(Person)=人間を固有な存在として認知する
⇓
人格(Person)を特徴づけるのは自己意識、理性、道徳、感覚である。
医療倫理の変遷
・世界社会(ニクラス・ルーマン)
⇒部分社会は2つに分けられる
①規範的予期類型(法、政治、行政、メディア)
・健康の倫理
⇒医療倫理から生命倫理へ
・医療倫理と生命倫理
⇒生命倫理の背景として先端医療技術の進歩
①高齢者の増加
②慢性疾患が医療の前面に出てきた
③植物状態の患者が増加
・環境倫理学の発展
①自然の生存権
→人間だけではなく、生物、生態、景観などにも生存の権利を認める。
②世代間倫理
→未来世代を含めた中で倫理を規定する。
③地球全体主義
→個人よりも地球の生態系を維持することを重視する。
医療事故と科学・倫理
・医療過誤と法的責任
<法的責任>
①刑事責任
→加害者の反社会性や反倫理性が処罰の根拠とされる。加害者の主観面が重視。
②民事責任
→被害者の損害回復を目的とする制度。加害者の故意・過失によりその負担に軽重が生じない。
③行政上の責任
→免許に関するものであり、医療の安全確保を目的。
・注意義務の水準
「人の生命及び健康を管理すべき業務に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のため最善の注意義務を要求されるが、その注意義務の基準となるべきものは、診療当時における臨床医学の実践医療水準である。」
理学療法ガイドライン
卒前教育の到達目標
・理学療法教育は生涯にわたって継続しなければならない。
・PTとして生涯にわたり活躍するために資質、知識、技術に関する基礎を築くこと。
・必要な新たな知識、技術に出会ったときに、それらを自ら学ぶための能力と習慣を形成する。
このような考えのもとに、ガイドラインでは理学療法の卒前教育の到達目標を、、、
理学療法の基本的な知識と技能を修得するとともに、自ら学ぶ力を育てる。
とした。
臨床実習の到達目標
→ある程度の助言・指導の下に、基本的理学療法を遂行できる。
とした。
コア・カリキュラム
※コア・カリキュラムとは基本的で必須の学習項目
→指定規則93単位の中の83単位をコア・カリキュラムとして示した。
83単位のうち、18単位を実習で取得して、残り65単位を学内教育で取得。
基礎領域→→→→12単位
専門基礎領域→→23単位
専門領域→→→→30単位
臨床実習→→→→18単位
・専門科目の区分
専門領域を3区分にした。
①理学療法の基礎
→基礎理学療法
②系統別理学療法
→理学療法評価学
→理学療法治療学
③地域理学療法
→地域理学療法学
系統別理学療法については、協会や欧米諸国を参考に障害別(疾患別)理学療法としてある程度の区分が可能な…
①骨関節疾患 ②神経障害 ③内部障害
を定めた。
理学療法士の臨床実習
⑴:学生に許容される理学療法行為の範囲とその水準に従って行う
⑵:適切な能力を有する臨床実習指導者が指導する
⑶:実習前に学生の能力と適正を評価・認定する事
⑷:患者もしくは患者の保護者などからの同意と事故補償
・理学療法学生に許容される行為の範囲とその水準
水準Ⅰ:指導者の直接監視下で学生により実施されるべき項目
水準Ⅱ:指導者の補助として実施されるべき項目および状態
水準Ⅲ:見学にとどめておくべき項目および状態
臨床実習と卒後のキャリアラダーとの連続性
臨床3~4年
→自ら独立して理学療法が実践できる。(水準Ⅲを含めて)
臨床1~2年
→指導・助言のもとで理学療法が遂行できる。(水準Ⅱを含めて基本的理学療法が安全にできる。)
卒業時
→理学療法の基本的な知識と技能を修得するとともに自ら学ぶ力を育てる。
臨床実習終了時
→ある程度の助言・指導のもとに基本的理学療法を遂行できる。(対象者に対して水準Ⅰの行為を遂行できる。)
臨床実習前
→基本的理学療法を模擬患者に遂行できる。
学生が臨床実習終了時に修得しておくべき実践的能力と技術の例示
・動作介助技術の行動目標
→基本動作介助、移動動作介助、移送介助、体位変換が実施出来る。
・リスク管理技術の行動目標
→スタンダードプリコーション、症状・病態の観察、バイタルサインの測定、意識レベルの評価、心電図・パルスオキシメーター・筋電図の使用、酸素ボンベの使用、ドレーン・カテーテル留置中の患者管理の介助、生命維持装置(人工呼吸器、人工心肺装置、人工透析など)装着中の患者管理の介助、点滴静脈内注射・中心静脈栄養中・経管栄養中の患者管理の介助
などが出来る。
医療安全・労務管理
医療事故の概念(定義)
→「医療の管理下における医療遂行の中で、患者に生じた予期しない不利益な事実、または医療の管理下にある施設に起因して生じた不利益な事実。」
-予期せぬ-とは??
「患者の心理面において予想外の不利益な出来事」であり、予想した範囲内で不利益と感じなければ自己の認識が生じないことがある。不利益と感じれば事故と認識される。
つまり、、、
患者に害が及ぶ前に十分患者家族へ説明しておくことが重要となる。説明がしっかりしてあるのと、ないのとで大きく変わる可能性がある。
医療過誤とは
医療事故の1類型であり、医療従事者が医療の遂行において医療的準則に違反して患者に被害を発生させて行為。
医療事故そのものは医療従事者の過誤・過失は問われない。
医療事故は全ての人身事故である。
全ての人身事故の中の一部として、、、
医療従事者の過誤過失によるものを医療過誤という。
労働者は法律によって守られている
→労働条件に関する基準について規制する。
→労働災害防止として快適な職場環境の形成を促進する。
・最低賃金法
→最低賃金を決め、労働条件を維持・改善する目的。
→業務中や通勤途中に被災、罹患した場合に社会復帰を促進・援護する。
・労働契約法
→労働契約の理念等を定め、個別の労働関係の安定。
→労働者に適した職業に就く機会を確保し労働力の需要と供給を調整。
・労働者派遣法
→派遣労働者の職業環境整備と雇用の安定化、その他福祉の増進。
→失業者などを対象に必要な給付を行い、就職を促進する。
施工機関:都道府県労働局雇用均等室
・パートタイム労働法
→パートタイム労働者の労働条件の適正水準確保や雇用管理改善。
→妊産婦の健康確保を含め、雇用・待遇の水準を男女均等に。
・育児、介護休業法
→子を療育し家族を介護す者等の仕事と家庭の両立に寄与。
妊娠中・産後・育児への配慮
→産前6週までの期間
・簡易的な業務へ変更
・変形労働時間でも1日8時間週40時間は守る
・時間外労働、休日労働、深夜業を廃止
・通勤緩和措置
・休息の措置
・症状等に対する措置
→産前6週~出産予定日
・申し出があれば働かせてはいけない
→出産予定日~産後6週
・働かせてはいけない
→産後6週~8週
・原則働かせてはいけない(希望と医師の許可で働ける)
→産後8週~1歳
・育児休業
→1歳~1歳6か月
・育児休業(延長可能期間)
→1歳6か月~3歳まで
・短時間勤務制度と残業免除制度が適応
パワーハラスメントの定義
平成24年1月30日に厚生労働省は「パワーハラスメント」の定義を発表
→「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
コンフリクトマネジメント
コンフリクトとは衝突、葛藤、対立などで相互に相容れない、歩み寄れない不一致、不協和な状態をマネジメントする事を呼ぶ。
①競争的
→相手を説得して自分の利益を中心に解決。(先制攻撃)
②受容的
→自分を抑制し、相手を受け入れることで解決。
③回避的
→対立する状況を回避。
④妥協的
→お互いの要求水準を下げて、部分的な実現を図る。
⑤協調的
→お互いに尊重し、協力して事態解決。
臨床・疫学研究の推進
臨床推論
対象者との出会いから最終的帰結するまでの間でクリニカルリーズニングを行う。
②動作を基軸とした症候障害学な分析
③根拠に基づく理学療法の選択(説明と同意)
④課題指向型トレーニングの適用
⑤多職種連携による介入
・臨床推論とは、、、
→気づき、経験、知識に基づく論理的思考による鑑別と選択の繰り返し(仮説の検証=推論)
・臨床推論の中の対立仮説について
~対立仮説の立て方~
→第一仮説の次に高確率であると思われる要因
→見過ごすと生命や重篤な機能不全につながるもの
→治療方法が相反または異なるもの
疫学統計
①感度
→患者の中で検査が陽性の割合
(ACL患者に対して前方引き出しテストが陽性になる割合)
②特異度
→患者でない者で検査が陰性の割合
(健常者に対して前方引き出しテストが陰性になる割合)
③陽性的中率
→検査が陽性の人が実際の患者である割合
④陰性的中率
→検査が陰性の人が実際の患者でない割合
⑤陽性尤度比
→検査が陽性であったときに患者である頻度の高さ
⑥陰性尤度比
→検査が陰性であったときに患者である頻度の低さ
研究の種類と流れ
~研究デザイン~
・記述研究(特定の記述)
→記述調査、症例報告
・探索研究(関係性の発見)
→コホート症例対象
・実験研究(原因と効果)
→Single-subject designs
・(RCT)
※上から下にかけてエビデンスレベルが高くなる。
リサーチクエスチョン=研究課題
⇑
重要なのはエビデンスが高い方が良いわけではなく、リサーチクエスチョンの種類によって解決できる研究デザインが異なる。
・研究課題の同定
→経験、現状の実態・法則、専門領域の知見
・研究課題の定義
→対象の同定、理論的背景、変動要因の同定
検定方法
→関連性の分析にPearsonの積率相関係数が1番使用される。
有意差と有意味な差
→統計学的に有意差があったとしても、臨床的に有意味であるとは限らない。
・Minimal Clinically Significant Difference(MCID)
→臨床的意義を見出せる最小限の指標上の差
症例報告の研究性
→観察・介入研究では生命倫理審査委員会の承認が必要
・シングルケーススタディの基本的なデザイン
①withdrawal design
→基準期、介入期の後に撤回相を設ける。(A-B-Aデザイン)
②multiple-base line design
→(A-B-A-Bデザイン)
③change-criterion design
→介入期を細分化して段階的な介入を続けていく。
④alternating intervention design
→セッションを揃えて異なる介入を行った際の比較。
臨床・疫学研究の倫理
・統合指針
→疫学研究と臨床研究に関する倫理指針で、用語の定義や研究倫理について定められていたが、、、、、
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」として両指針が統合された。
・協会が求める研究
学術と職能の融合
⇓
それを保証・発展させる教育・研修
根拠に基づく理学療法
研究のデザイン
・扱うデータから見た分類
①量的研究
②質的研究
・研究目的から見た分類
①探索型研究
②検証型研究
・研究方法から見た分類
①観察型研究
→症例研究、横断研究、縦断研究
縦断研究
前向き⇒コホート研究
後向き⇒ケースコントロール研究
②実験的介入研究
→非無作為化対照試験
→無作為化対照試験・無作為化臨床試験
→対照ナシの介入研究
問題(疑問) 研究デザインの例
診断(評価)
有病率
→横断研究
原因
→コホート研究、症例対照研究
発生率
予後
→コホート研究
治療
予防
→無作為化比較試験
コホート研究と症例対照研究の長所と短所
・コホート研究<前向き>
→研究期間が長い
→経費が高額
→事象の発生順序がわかる
→リスクファクターと疾患の因果関係を推論可能
→同時に複数のアウトカムを研究
→多数の対象者が必要
・症例対照研究<後向き>(ケースコントロール研究)
→研究期間が短い
→経費が少額
→事象の発生順序がわからない
→バイアスが多い
→一度に1因子しか研究できない
→稀な疾患に適している
バラツキとバイアス
・精度、信頼性は結果が似通っているか散らばっているか。
→バラツキ、偶然誤差
・正確性、妥当性は結果が適切な狙いに当てはまっているかどうか。
→バイアス、系統誤差
※バラツキはあるが、バイアスが少ない。
→N数を増やす事で正確性が向上する可能性あり
ランダム化並行群間比較試験のための最新版ガイドライン
・CONSORT声明(Consolidates Standards of Reporting Trials)
=臨床試験報告に関する統合基準
→25項目から構成されるチェックリスト
理学療法診療ガイドライン
・背部痛の評価指標の推奨グレード
→グレードA
→疼痛誘発検査(グレードA)
→疼痛強度評価(グレードA)
→視覚的アナログスケール(VAS)
→数値的評価スケール(NRS)
→語句評価スケール(VRS:Verbal rating)
→Face scale
→質問票(SF-MPQ、NDI、NPAD、CNFDS、RDQ、ODI、JOA BPEQ)グレードA
・包括的評価(グレードA)
→SF-36
→SIP:sickness impact profile
→DRI:disability rating index
→FRI:functional rating index
・背部痛の治療介入の推奨グレード(グレードA)
→集団的、学際的リハ
→認知行動療法、行動療法
→教育的アプローチ
→活動継続
安静、活動制限、腰椎支持装具(グレードD)
以上で共通問題のテスト範囲はこんなもんかと思います。
指定研修で赤線で引っ張った場所を中心にまとめてみました。
結構な量になってしまったので、目次を付けてみました!